「村入りを促進し新旧住民の新たなつきあいを構築する民俗学的方策の覚書」公刊しました
この拙稿では、ここしばらく授業含めて私が通い続けている千葉県鴨川市における「二地域居住」や「移住」による新旧住民の関係を中心に考えてみました。
具体的には、都市部などから新たに転入する側(新住民)が、転入する場であるむら(村)における民俗慣行とどう関わるかについて検討してみました。合わせて古くからそこに住む人たち(旧住民)が、今まで伝承してきたむらの運営を新住民にいかに理解してもらえるかについても考えてみました。
よく聞かれるのですが、新たに移住する人たちにとって、その移住先の民俗慣行で懸念となるのが、近隣のつきあいに関わる暗黙のルールといいます。特に草取りや水源の清掃などの共同作業を欠席する場合、どのような罰則(出不足金の金額など)があるのかなどは気になるようです。
とはいえ、すべての地区の行われている罰則内容をデータとしてならべてしまうと、また違和感が生じます。なぜならば、村によっては、欠席に対する罰則的な意味合いだけではなく、あえて欠席をして金銭的な持ち寄りを行い、最終的にみんなで分けるといった例もあります。データとして罰則内容を見るのではなく、そのむらの「村柄」を理解したうえで、有機的なつきあいの中でいわゆる「罰則内容」の持つ意味を考えるべきではないかなと思い、村柄を理解する民俗学的方法の可能性について、千葉県鴨川市川代区を事例に考察してみました。
『国際教養学研究』第3号に掲載しました。以下のハンドルURLにあります。ご笑覧ください。
村入りを促進し新旧住民の新たなつきあいを構築する民俗学的方策の覚書
(『国際教養学研究』第3号 2019年3月 65-79頁 千葉大学国際教養学部編・発行)