『柳田國男と考古学』刊行されました

今年の5月なのですが、新泉社から『柳田國男と考古学』が刊行され、私もほんの少しですが、「柳田考古遺物の採集地はどこか①-明治後期における柳田の旅行先」というタイトルの原稿を記しました。

「柳田國男は考古学嫌い」と通説で語られますが、柳田の20~30歳代にはいろいろなところで考古遺物を採集していたようです。採集した遺物はおもに1900年~1910年代に集中しており、彼が『石神問答』『遠野物語』『後狩詞記』(いわゆる初期三部作)を著した時代でもあります。

この時の柳田は、農政官僚として全国を農事講習会で回っており、旅先で採集されていることが伺えます。私は、長野、福島そして早稲田大学で『農政学』の講義をしていた高田馬場での採集について記しました。また日露戦争のあとに、南樺太で採集された石器類もたくさんあります。柳田の博学的側面を感じます。

今までの柳田國男の学史を考古学研究の観点から見直したもので、私は別として、考古学そして民俗学の一線で研究されている方との共同研究での成果です。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。

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設楽博己・工藤雄一郎・松田睦彦編著『柳田国男と考古学なぜ柳田は考古資料を収集したのか』新泉社 2016年5月刊行