ナンキン、グンニャ・グンネそしてタゴベエ-八丈島里芋調査(1)-

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2017年2月21,22日と一泊二日の短い時間でしたが、八丈島で里芋の名称についていろいろな方にお話を伺う機会を持ちました。

これは方言学の金田章宏先生が研究代表者である科学研究費補助金(基盤B)「八丈語の保存・継承のための総合研究-辞書・教科書・映像資料を作成する-」の中で行う機会を得ました。私は研究分担者で仲間に入れていただいております。

これまで何度となく金田先生には八丈島に連れていっていただいたのですが、八丈島の里芋がとてもおいしいのです。特にナンキン(南京)と呼ばれる里芋は格別な味がします。

八丈島は大きく八丈富士のある坂下地区、八丈三原山のある坂上地区に分かれますが、それぞれの中にある旧村地区でも微妙に発音が違います。

里芋は種類が豊富で名称もさまざまなですが、同じものでも発音が違います。たとえばナンキンの他にグンニャがありますが、この「グンニャ」は樫立地区での発音なようで、大賀郷地区の別の方は「グンネ」と発音していました。

この科研で扱う八丈語ですが、八丈島はひとつではなく、この中にあるいくつもの地区(まずは坂上、坂下で二分はできますが、それぞれの中に複数の旧村それぞれ)で、発音が違うところに面白さを感じます。金田先生はそこに着目されて、この科研での研究を続けておられます。

またどうも里芋に関しては、品種への認知がややひとにより微妙に違うところもあります。

例えばタゴベエと呼ばれる里芋はありますが、これは「グンニャ/グンネ」と同じであるという方もいれば、そうではないという方もいます。

このあたり、里芋は品種の見分けは畑に出ている葉柄の色そして葉柄の根っこにあたる芋の芽の部分で判断できる印象で、実はツブリ(頭)の形状では、(これはシロウトの私からすれば)、タケノコイモみたいな個性的なものは別として、わかりにくいです。

ひとつ今回わかったのは、八丈島では、里芋の早生、中生、晩生をうまく分けて、年間継続的に里芋を確保できる生産暦が長くつづいていたのだろう、ということです。里芋の品種は、その継続的な生産の中で、作り手にとって印象として認知されている感じがします。ちなみにナンキンは中生、グンニャは晩生にあたります。

この他いろいろな里芋の種類や語彙の発音があるので、また八丈島に伺い、里芋の畑に伺おうと思います。できたら夏場の葉柄がはっきりわかるときに見に行きたいと思います。

私にとってはまだまだこの取材調査は始まったばかり。金田先生に教えていただきながら、考えていきたいと思います。引き続いて聞き書きしたことで感じたことはここに記します。のちにきちんとした報告になるようにと考えています。                                                                                         

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(写真上) 今回お世話になった松本睦男さんにつくっていただいたナンキンの煮付けです。里芋の中でもこれは格別においしいです。ナンキンはニョウゲ(塩茹で)がまた格別でもあります。
(写真下) 里芋の畑です。葉柄が赤柄で2月現在でも葉柄が畑から出ているので、晩生の里芋、タゴベエ(グンニャ・グンネエ)かと思います。こうして畑に植わったまま置いておくのが冬の時期の適切な里芋保存法なようです。

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(写真上) タケノコイモ。でかいですね。末吉の畑で見ました。タケノコイモは内地でもよく見かけますが、末吉と同じ坂上地区のある樫立では作らないそうです。同じ坂上地区でも旧村により土質が違い、合う合わないが微妙に出てくるのが八丈島の里芋栽培かと思います。タケノコイモは八丈島原産ではなく、内地から渡ってきたものです。
(写真下)タゴベエ(あるいはグンニャ)。あたま(ツブリ)のイモです。ツブリを煮付けにして食べるとまたおいしいです。